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ミケ
かわいいポストカードを中心にダウンロード作品もアップしたと思ってます。 放送が終わり、拍手の余韻が店内にまだ漂っていた。  鴉博士は台本を閉じると、冗談めかして羽根を広げた。 「先生、どうぞご安心ください。この店では、言語の壁は越えられます。古代ギリシア語も、博多弁も、眠そうな猫の鳴き声も、だいたい通じることになっております」  客席から笑いが起こる。  すると、窓際の席で紅茶を飲んでいた、古代の女流詩人、が、興味深そうに顔を上げた。 「それは便利ですね。私の詩は、二千年以上も旅をして、いまでは欠けた断片ばかりになってしまいましたから」 「断片だからこそ、人は想像するのでしょう」  鴉博士が答えると、作家は少し照れくさそうに頷いた。  そのとき、猫執事が本日の菓子を運んできた。  黒い艶のある菓子の上には、薄い飴細工の幕が半分だけかかっている。  札には、昨夜と変わらず、こう書かれていた。  『舞台も人生も、幕がおりるから美しい。』 「なるほど」  サッフォーは小さく笑った。 「幕が下りるから美しいのなら、詩が欠けているのも、悪いことばかりではないのかもしれませんね」  作家は菓子をひと口食べ、それから尋ねた。 「あなたは、二千年後の読者に読まれることを想像していましたか」  サッフォーは首を横に振る。 「まさか。ただ、誰かひとりの心に届けば十分だと思っていました」  窓の外では、夜風が藤棚を揺らしている。  鴉博士は空になったカップを見つめながら、ひとりごとのようにつぶやいた。 「不思議なものですね。詩人も作家も役者も、結局は皆、同じことをしているのかもしれません。幕の向こうにいる誰かへ、言葉を投げかけているのですから」  誰が書いたのかも、いつ語られたのかもわからない物語たちが、本棚の奥で静かに耳を澄ませていた。📻☕📚
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